vol.111
November 23, 2022
完全版大日如来坐像の定義のひとつに「光背に37の諸尊を配する」とありますが、その一番てっぺんの諸尊は人型ではなく塔の姿をしています。
伝統的な宝塔の姿は継承しつつも、そこはついついいつもの悪い癖が出まして・・・
完全版大日如来坐像の定義のひとつに「光背に37の諸尊を配する」とありますが、その一番てっぺんの諸尊は人型ではなく塔の姿をしています。
伝統的な宝塔の姿は継承しつつも、そこはついついいつもの悪い癖が出まして・・・
宝冠は金属板で作られる場合も多いですが、今回は像のボリュームを考慮し木で彫り出す方法をとりました。
透かし彫りは骨が折れますが、そう言いながらもお楽しみ所のひとつなのです。
本尊の彫り作業は全て自分(大森)が行いましたが、この大プロジェクトを完遂してくれたスタッフ達にはぜひ一度は本尊に触れて欲しく、非公式ではありますがささやかな鑿(のみ)入れ式を行いました。全員が木屑を大切に持ち帰る姿を見て、こみ上げるものがありました。
ほぼほぼ造形が彫り上がったところで、最終的な内刳りを施します。全く見えない部分ながら、綺麗なラインや心地よい厚みの緩急をつけてしまう癖(へき)全開で、けれど感覚的なそれは強度や設置後の重量バランスに少なからず関係してくると信じています。
本尊の条帛(じょうはく)制作の様子です。不定形のものに不定形のパーツをピタリと合わせる技術、
自身20代の頃のアシスタント時代に徹底的に鍛えられたスキルです。ゆえに手間は掛かる作業ながら案外嫌いじゃないのです。