御礼
October 31, 2022
先日10月28日、51歳になりました。
沢山の方からお祝いメッセージ等々頂き、感激しております。
この場をお借り致しまして御礼申し上げます。
いつも自分の周りには沢山の格好いい先輩達がいて、昨年50歳の大台に乗ったときには、なんだかようやくその先輩達チームの末席に加われたようなそんな気がして、気持ちがスッと楽になりました。
そして新入生の一年目が終わり、無事に2年生にあがれました。
ベテランぶるのはみっともない、キャリアを誇示する必要もない、わかったような顔をしない、大切なのはいつまでも素直な気持ちを持ち続けること。
その気持ちを大切に、2年生も頑張ります。
さて誕生日当日は、工房スタッフが僕の大好きな「キウイブラザーズ」が乗った手作りケーキで祝ってくれました。
リアルキウイブラザーズ!美術系、恐るべし。
今春工房に入った百々(どど)というスタッフが奇しくも同じ誕生日だったので、この日は合同誕生日会。
51歳と24歳、倍以上違うローソクに現実を突きつけられつつ、、
夕方は友達と横浜まで木村充揮さん(憂歌団)のライブへ。
誕生日に憂歌(ブルース)、悪くないねぇ。
たっぷり憂歌に浸り、日付けが変わるころには愛すべき酔っ払いのオッサンと腕を組んで語り合い。
あぁ、こんな51歳の自分を想像できたでしょうか。
心の底から幸せです。
皆さま、ありがとうございます。
彫刻家 大森暁生
舞台
October 24, 2022
ここ最近、なんだかやたらと舞台づいていた。
彫刻を生業にしているくせに、元来美術畑がどうにも苦手で、自分が刺激を受けたり影響を受けるのはたいてい美術界以外のところから。
ただ、舞台というのは自身にとって少々縁遠く感じていて知識も乏しかったのだけれど、いろんなご縁もあり、そして続くときは続くもので、珍しく立て続けに観る機会に恵まれたので備忘録として記しておこうかと。
8月
「Janis」(国際フォーラム)
「単純明快なラブストーリー」(下北沢スターダスト)
9月
「リザンテラ」(下北沢シアター711)
10月
「志の輔らくご ブリリアント」(氷見市芸術文化館)
「吉祥寺薪能」(雨天のため武蔵野市民文化会館)
とまぁ、こんな具合い。
馴染みがあるのは志の輔師匠の高座くらいで、ミュージカルも下北沢の小劇場も、お能も狂言も、50年生きてきてわずか数回目の体験。
理解できるかなぁ、寝てしまわないかぁ、とほんとうにそんなレベルなのだ。
「Janis」はタイトルの通り、ジャニス・ジョプリンの生涯を描いたミュージカル。自分が中高生の頃、オシャレな同級生はこぞってジャニス・ジョプリンを聴いていたように覚えているけれど、自分はサッパリ。けれどここ数年は自分も少しはブルースがわかるような年齢になってきて、ブルース・ミュージシャンのライブにも足繁く通うようになったので「Janis」はきっと自分にとって良いタイミングで出会ったのだと思う。その証拠に来年の展示のヒントもしっかりともらってきた。
「単純明快なラブストーリー」と「リザンテラ」は、ウチのYouTube等々、動画の編集をしてくれている映画監督の富田未来が演出を手掛けているというので、応援も兼ねて出掛けた。
「単純明快なラブストーリー」は富田の師匠である倉本朋幸氏の作で、富田は演出を任されていた。
「リザンテラ」は富田が脚本・原案・演出の全てを手掛けている。
富田は、普段全く畑違いの彫刻の工房で働き、チンプンカンプンな場所から何かしらのものを得てくれているらしいのだけれど、この日ばかりはその真逆。自分は勿論のこと、普段一緒に働いているスタッフたちも舞台というものから大いに刺激を受ける事となる。そして小劇場というのは舞台との距離が近いということは情熱との距離が近い。それを公演中浴び続けることは本当に心地良いものだった。
「志の輔らくご ブリリアント」は足を伸ばして富山県の氷見市まで。まぁこれには色々理由があるのだけれど、それはまたそのうちに。
さすが志の輔師匠、800席が満席。そしてその全員を笑わせ続けるエネルギーたるや、それはもう。
この日は新作ではなく古典を2席。「ぞろぞろ」と「八五郎出世」。
「八五郎出世」で涙が出たのは初めて。見事にやられた。
公演後は楽屋にご挨拶をさせて頂き、感無量。
帰路は約7時間の運転中、ずっと志の輔落語を聴いていた。
「吉祥寺薪能」は野村萬斎さんを観たいという母を連れて。
狂言もお能も、事前に専門家さんからの丁寧な解説と説明があって、あわせて手元のパンフレットにある解説をちらちらとカンニングしながら観てみたら、どちらも大いに楽しかった。
演目も分かりやすかったのかもしれないが、ぜひまた観てみたい。
とまぁ、舞台というカテゴリーの、きっと一番右から一番左までを2ヶ月間の間に立て続けに観たわけだけれど、シーン(場面)の切り替えの手法がそれぞれ全く違い、けれどそのどれもが観る側の想像力を呼び起こし、あたかも目の前にその場面や景色があるように想像させる。
想像させる装置が最もシンプルなのは落語で、最も華やかなのはミュージカル。狂言、お能、そして小劇場の舞台はそれぞれの”お約束ごと”を知ることでよりその世界に浸れる。
さぁ、彫刻はどうだ。
想像力のスイッチ。勉強になりました。
彫刻家 大森暁生