木彫り熊の申し子 藤戸竹喜 アイヌであればこそ

September 20, 2021

 

 

 

「木彫り熊の申し子 藤戸竹喜 アイヌであればこそ 」展を観てきた。

 

自分が学生の頃、具象彫刻は完全にマイノリティ。さらに木彫となればそれはそれはジジイ趣味の象徴のようで、「自分は木彫で人とか動物とか彫ってます」なんて自己紹介すると、必ずや「鮭くわえた熊とか彫ってるの?」なんて、ちょっと小馬鹿にされたものだった。

 

ところが時代は巡り、今や具象彫刻全盛。しかも木彫が大人気だそうで、時代とは不思議なものだなと思っていたところにこの展覧会。ガツンとやられました。

 

今のアート界、右を見ても左を見てもいかに”付加価値”を付けるかで皆んな必死。

価値の無いものにもいかにして”付加価値”を付けるか、NFTなんてまさにその最たる愚の骨頂。

皆んな、頑張るところが違うだろ。

 

どっしりとした本当の価値あるものには付加価値なんかいらない。

阿寒湖畔のお土産物屋さんで売っていた木彫りの熊達が、今の美術界を鼻で笑っている、そんな気がした。

 

会場の最後、絶作の未完の熊が一番穏やかで凛とした良い顔をしていた。

そんな風に作家を終われたら幸せだろうな。

 

 

彫刻家 大森暁生

 

 


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