“王者のテーブル ー Young lion ー” 納品
April 23, 2015
もう幾度も通った、仙台在住のコレクター伏見さま邸への納品の旅。
けれど伏見さんご夫妻は、「コレクター」とか「お客様」とかそんな余所余所しい言葉はなんだか馴染まない。
伏見さんは「友」と言ってくれるから、大先輩は承知のうえで自分も「友」としてお付き合いさせて頂いている。
そんな伏見邸への納品も、今回はひときわ特別な一日。
数年前にご注文頂き、ようやく仕上がった大作 ” 王者のテーブル ー Young lion ー ” の納品。
「桜の咲く頃」というお約束、仙台はまさに見頃、間に合った。
”座卓”ということ以外、モチーフ、素材、仕様、全て一任頂いた今回の大仕事。
作品に対峙したときのご夫妻のお顔とあの時間、自分は一生忘れないだろう。
緊張のお披露目を無事に乗り越えたら、あとは日付が変わってもなお続く盛大な御祝い。
工房一同、夢のような時間を過ごさせて頂いた。
翌日は、お二人と共にお蕎麦に松島観光にお鮨に国分町にと、贅沢な心の休息。
ゆっくりと2泊させて頂き、新幹線でもその余韻を楽しみながら。
幸せな三日間でした。
伏見さん、結賀さん、本当にありがとうございました。
彫刻家 大森暁生
王者のテーブル ー Young lion ー
April 22, 2015
今日までに、モチーフをテーブルに落とし込んだ作品を10点(10脚)ほど制作して参りましたが、今回、過去最大のサイズとなる新作「王者のテーブル ー Young lion ー」を制作、完成し、お客様の元へ納品して参りました。
過去にはダイニングテーブルやローテーブル、カウンターテーブル等、さまざま制作致しましたが、今回はお客様からのご要望により初めての座卓です。
全長3m50cm、奥行き1m、8名がゆったりと座って頂けるサイズです。お客様のご自宅の和室の広さ、そして来客の多いご使用状況等を踏まえ、このサイズに決定致しました。
座卓天板には若いライオンが主人に従えるように佇み、その影はやがて夢見る”百獣の王”の姿となって天板全面に伸びてゆきます。
昨年のアートフェア東京で発表致しました「夢と影」の延長にあたる作品です。
ライオン本体は楠(くす)、天板は欅(けやき)無垢板、影の部分は黒檀(こくたん)の象嵌により描いています。象嵌は、質感やデザイン性は勿論のこと、普段の使用を考慮したうえで、今回、自身初めて試みた手法(技法)になります。そして全体を拭き漆で仕上げました。
脚はことさら和テイストになり過ぎないよう、あえて金属(黒半艶)で制作しました。そのうえで金属の堅さをやわらげるため、両サイドは柔らかい曲面に仕上げました。
これだけの大きなサイズで、のびのびと鑿を振るえることは、彫刻家にとってこれ以上ない幸せです。
ご注文から数年のお時間を頂戴し制作させて頂きましたが、お陰様でお客様にも大変喜んで頂けました。
そして自身にとっても、間違いなく代表作のひとつです。
ご注文作品のため、Webのみでの公開となりますが、ご高覧頂けましたら幸いです。
彫刻家 大森暁生
王者のテーブル ー Young lion ー
H98×W350×D100(cm)
楠、欅、漆、彩色、鉄
2015
©AKIO OHMORI
Photo:KATSURA ENDO