「殺処分ゼロ」定義明確に
May 3, 2018
今朝のニュース。
ここ数年、「殺処分ゼロ」を掲げ実行する自治体がずいぶんと増えているようで、それ自体はもちろん素晴らしいことなのだけれどその実体はいろいろあるみたい。
自分が過去に取材させていただいた熊本市動物愛護センターは、それこそ今のこの動きの先駆者であるからこそ、わずかな取材からも体裁ではない本当の問題を垣間見ることが出来た。
中でも”攻撃性”を持つ犬の恐さは、街中で野良犬を見かけなくなった現代ではなおのこと、それはそれは衝撃的だった。
自分に対して狂ったように猛然と牙を剥き飛びかかってくるその様は、目の前の鎖がもし切れたら、きっと自分は噛み殺されるだろうと感じるほど、それはもうライオンや虎に対面するのと同じ猛獣の恐怖だった。
”病気”についても、感染等の問題だけでなく、動物にだって精神的な病気もある。重度の者は一見して解るほど痛々しいものだ。そういった状況からも譲渡が現実として難しいことだってある。
「殺処分ゼロ」を本気で実現してゆくのであれば、殺さなかった数字だけではなく、殺さざるをえなかった現実とその理由についても、同時に理解し認めてゆく必要があるのだと思う。
彫刻家 大森暁生
彫刻家 大森暁生 Please do disturb (芸術新聞社HP内連載コラム)
vol.29「熊本市動物愛護センター」
http://www.gei-shin.co.jp/comunity/06/index2.html
光の肖像 ー すみっこのポンザ ー
H57×W52×D32(cm)
楠、漆、彩色
2011
©AKIO OHMORI
Photo:KATSURA ENDO
創と造 2018
April 22, 2018
4月23日(月)より東京美術倶楽部を皮切りに全国5箇所の美術倶楽部を巡回致します「創と造 2018」に、新作木彫一点を出品いたします。
今回は『満ちゆくものは欠けゆくときとなり』と題して、バビルサを制作しました。
バビルサは、鼻の上を貫く牙が湾曲し自身の額へと伸びてゆく不思議な生き物です。やがてその牙が自身に突き刺さって死ぬ、または牙が刺さる直前に寿命を全うすると言われ、「死を見つめる動物」と呼ばれています。
夜行性でもあるその生態からも、伸びゆく牙を三日月に、そして寿命を満月に見立て、バビルサと月の満ち欠けとを重ね合わせてみました。
お近くにお越しの折には、ぜひご覧下さいませ。
上記情報は美術の窓 最新号(2018年5月号)にも、作品写真と共に掲載いただいております。
合わせてご一読いただけましたら幸いです。
彫刻家 大森暁生
創と造 2018
東京美術倶楽部 4月展
4月23日(月)〜27日(金) 10時~17時
京都美術倶楽部
4月30日(月)〜5月2日(水) 10時~17時
金沢美術倶楽部
5月7日(月)〜9日(水) 10時~17時
大阪美術倶楽部
5月14日(月)〜16日(水) 10時~17時
名古屋美術倶楽部
5月21日(月)13時~17時
5月22日(火)・23日(水) 10時~17時
東京美術倶楽部 5月展
5月25日(金)〜28日(月) 10時~17時
満ちゆくものは欠けゆくときとなり
H95×W38×D59 (cm)
楠、漆、金箔、彩色
2018
©AKIO OHMORI
Photo:KATSURA ENDO