木彫り熊の申し子 藤戸竹喜 アイヌであればこそ
September 20, 2021
「木彫り熊の申し子 藤戸竹喜 アイヌであればこそ 」展を観てきた。
自分が学生の頃、具象彫刻は完全にマイノリティ。さらに木彫となればそれはそれはジジイ趣味の象徴のようで、「自分は木彫で人とか動物とか彫ってます」なんて自己紹介すると、必ずや「鮭くわえた熊とか彫ってるの?」なんて、ちょっと小馬鹿にされたものだった。
ところが時代は巡り、今や具象彫刻全盛。しかも木彫が大人気だそうで、時代とは不思議なものだなと思っていたところにこの展覧会。ガツンとやられました。
今のアート界、右を見ても左を見てもいかに”付加価値”を付けるかで皆んな必死。
価値の無いものにもいかにして”付加価値”を付けるか、NFTなんてまさにその最たる愚の骨頂。
皆んな、頑張るところが違うだろ。
どっしりとした本当の価値あるものには付加価値なんかいらない。
阿寒湖畔のお土産物屋さんで売っていた木彫りの熊達が、今の美術界を鼻で笑っている、そんな気がした。
会場の最後、絶作の未完の熊が一番穏やかで凛とした良い顔をしていた。
そんな風に作家を終われたら幸せだろうな。
彫刻家 大森暁生
月刊美術 2021年9月号
August 21, 2021
8月20日発売の 『 月刊美術 』 9月号 特集 〈 素材感際立つ 立体のいま 〉 にて巻頭特別インタビュー5ページ、および今秋パラミタミュージアムにて開催予定の回顧展記事1ページ、そして新生堂さんの広告ページ1ページと計7ページに渡り掲載頂きました。
自身、作家活動25年目、50歳の節目にとても記念となる号になりました。
思い起こせば、1997年の初個展の際に自身初めて展覧会レビューとして掲載された美術誌も月刊美術さん(1997.4月号)でした。
自身の節目を活動最初期から見て頂いている月刊美術さんで飾らせて頂けたこと、感慨深い思いです。
編集長のWさん、ライターのMさん、どうもありがとうございました。
および、同号には自身と共に完全版大日如来坐像プロジェクトに取り組んでくれている工房スタッフの山本雄大の記事も1ページ掲載頂いております。
是非お手に取って頂き、あわせてご覧頂けましたら幸いです。
どうぞ宜しくお願い致します。
彫刻家 大森暁生
月刊美術
https://www.gekkanbijutsu.co.jp/