華炎馬 (2011年制作)
March 11, 2026
『 華炎馬 』 と名付けたこの作品は2011年、美術コレクターでかつ当時馬主をされていらしたS氏からの「競馬場に恩返しがしたい」というご依頼で制作いたしました。
等身大とまではいきませんが、額のサイズで260cmもあるたいへん大きな彫刻です。
競走馬の躍動感までもきちんと表現したく、友人の人気ジョッキー故 後藤浩輝さんに無理をお願いしてJRA美浦トレーニングセンターまで取材させていただき、競走馬に目の肥えたファンの方々にお見せしても恥ずかしくないものを、と全身全霊で取り組んだことを覚えております。
そんな制作の最中、3月11日に東日本大震災が東北を襲いました。
日本中が呆然とし、直接の被災者でなくとも何から手をつけていいのか、脳みそが停止してしまったかのようでした。
仕事柄、自営業、自由業の友人も多く、彼等はじきに被災地に飛びました。
その勇気と行動力に感動しました。
さぁ、自分は今いったい何が出来るんだ、と自問自答しているとき、この作品のお施主様であるS氏から「今の日本が苦境を乗り越えるための応援になるような要素を作品に加えて欲しい」というご要望をいただきました。
そのとき自分は、微力ながらこの作品で復興に協力しようと誓いました。
それまで描いていた図面をすべて描き直し、競走馬ではなく障害を飛び越えるポーズの馬に描き変えました。
そして鬣(たてがみ)と尻尾は、困難を乗り越える強い気持ちを炎の姿に託しました。
そうして完成した作品は 『 華炎馬 』 と名付け、新潟競馬場内の皆さまにご覧頂ける場所ににお納めいたしました。
3月11日というこの日を、いつまでも自分の気持ちに静かにゆらめく炎にしてゆかなければと切に思うのです。
彫刻家 大森暁生
華炎馬
H140×W260×D20(cm)
檜、漆、金箔、彩色、アガチス、ステンレス
2011
© AKIO OHMORI
Photo : KATSURA ENDO

