旧 D.B.Factory
March 22, 2015
北千住の今の工房に移り住んでちょうど今年で10年目を迎えるのだけれど、ここに来る前、初めて自身の工房を構えたのは1999年のこと。隣町、荒川区町屋の川っぺりに平屋を借りて青春の約6年間を過ごした。
東京じゅうを2年近く探し歩いた末に出会った物件で、当時駆け出しの自分にとっては”夢’も”希望”も”不安”もぎっしりと詰まった初めての自分の城だった。
そんな甘酸っぱい想い出の工房、なんと現在は、うちのアシスタント達の大学の後輩にあたる男の子二人がシェアして住んでいるという。
そこで、差し入れをぶら下げて仕事後にみんなで襲撃。
近所なので外観は通るたびにいつも眺めていたのだけれど、中に入るのは本当に10年ぶりのこと。
そもそも此処が旧D.B.Factoryだとわかったのは、入口のガラス戸にウチのステッカーが貼ってあるのを、今の家主 秋山くんが見つけたことから。まずはそのD.B.Factoryステッカーと、やはり当時自分で貼ったなんちゃってセコムステッカーを確認。いや、もう、ふつーにそのまんま。
そして工房の中はというと、すっかり男臭く、そして美大生特有、簡古素朴な空間。それでも男二人なんだか楽しそうに棚を作ったりカーテンで仕切ったり、彼ら流にアレンジしていた。
だけどやっぱり建物はあの頃のまんま。
けどなんだろう、懐かしいでもない、センチメンタルになるでもない、感慨にふけるでもない、なんだかほんとに昨日の事のよう。明日からまたここに帰ってきて、洗面器に石鹸入れてお風呂屋さんに駆け込む、そんなことも自然に出来そうな不思議な感覚。
四十男の昔話を少々披露しつつ、10年の月日をいっきに飛び越えた、ほんとに素敵な夜でした。
秋山くん、まさしくん、お邪魔しました。
ありがとう。