追悼 後藤浩輝
March 3, 2015
先月末27日、名ジョッキー 後藤浩輝さんがまるで冗談みたいに逝ってしまった。
報道が事実ならば、なんて人生の終え方だ。
けれど、誰もが認める、超人、不屈の男がそんな手段しか選べないほど追い詰められていたのなら、それはどれほどの苦しさだったのだろう。
後藤さんと出会ったのは2005年、ちょうど10年来の友人で、作品のコレクターとしても、いつも僕を応援してくれていた。
知り合った当時、僕はまだ作品だけではとても喰えておらず、対して後藤さんはすでに競馬界のトップジョッキー。
それでも3つ歳下の彼はいつも僕を立ててくれたけれど、僕は後藤さんに対して良い意味でのコンプレックスをいつも持っていた。
だからいつか追いつこうと頑張り、数年後、ようやくなんとかかんとか彫刻で喰えるようになったとき、稼ぎは違えど、やっとまともに彼の目を見られるようになった。
なのに。
知り合った当初工房に遊びに来てくれたときの写真と、昨年末納品でご自宅に伺った時の写真。
互いにまだどこか幼さの残る当時から、10年で顔つきも変わって。
こういう写真をこの先も重ねてゆきたかった。
後藤さん、どうか安らかに。
彫刻家 大森暁生